<特別投稿>今帰仁城跡や周辺の発掘、修復や管理をおこなう文化財係り。専門家の目がとらえた今帰仁城跡。

今帰仁城跡のデザインラベル

今帰仁でつくられている泡盛の銘柄は「ふるさと」です(下写真)。

酒ビンのラベルには今帰仁グスクと桜がデザインされていて、今年もこのラベルに描かれている桜の季節が去っていきました。今、グスクは葉桜となり、華やかな桜の季節の喧噪から、緑深い静寂の季節へとかわりゆくのです。

この時期、今帰仁グスクには多くのお客様が訪れています。一日に千人という日も少なくありません。大勢の人にグスクを見ていただけることは喜ぶべきなのですが、逆に「石畳が痛まないか」「石垣が崩れないか」と気掛かりになることもしばしばあります。先日沖縄で大きな地震がありました、同じく世界遺産の勝連城跡では石垣が崩れたと報じられました。幸い、今帰仁では今のところ大きな被害が確認されませんでした。

グスクに限らず史跡公園は、現代を生きる私たちが過去と対話のできる場所です。ところが、はじめて来られる方には、遺跡の語りはなかなか難解で理解しにくいので、遺跡の語りを手助けするために、説明板を立てたり、解説本を発行したりします。より多くの方へ見学を促し、来訪者への理解を助け遺跡を活かすことを、私たちは「活用」と呼んでいます。近年ではガイドの皆様のご活躍により、その手助けに一層厚みを増すこととなったと感じています。

さて、一昔前までは活用はなおざりで、史跡文化財と言えば、記念碑的象徴として大切にされてきました。これを「保存」と言っていた。今は保存することを大切に考えながらも、活用をうまく行うことも大変重要になってきています。いずれにしても、両者のバランスの中で、遺跡は整備されております。


グスクをはじめとした遺跡整備は、一般的には地方公共団体が公共事業として実施しています。本村でも同じです。公共事業なので、社会公共の利益を考えて遺跡が整備されるのですが、一方では遺跡の立場になって整備を進めることが大切です。戦前、国策としてグスクが神社化される整備事業がありました。グスクにしてみれば、きっと不本意だっただろうと思います。

今年も今帰仁グスクでは石垣の修理を整備事業の一環として行っています。修理にあたっては、残っている部分をなるべく保存することと、伝統的工法で修理することを重要視しています。しかし一方では、安価な工法や、見栄えの良い石積みに改良することが好まれるのも事実です。それではグスクも不本意だと思います。そんな訳で、整備中のグスクは、まだまだおぼつかない所も多く、あいかわらず心配の種は減りませんが、それでも、足を運ばれる方には、是非そんな整備の途中の様子や石垣修理の様子も観察いただき、今帰仁城跡の歴史の一幕としてご見学いただければ幸いです。

 

写真:今帰仁酒造から販売されいているお酒。

今帰仁酒造HP:http://www.nakijinshuzo.jp/index.jsp

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